印鑑を持って実感すること

印鑑イメージ

結婚を決めたのは、子供ができたのがきっかけだった。正直、できたかもしれないとずっと思っていた。
私は、昔からそういう勘だけは強い。

10代でもないし、社会人として満足するくらい働いたし、親に反対される可能性も低かった。
ただ、一つの不安をあげるとするならば、交際期間の短さだ。相手には、何の問題もない。
自分史を見直してみれば、史上最高のパートナーだ(と思う)。

そう、すべて(と思う)が付くのだ。経験不足による確信の不安定が否めない。
優しいし、頼りになる、定職にも就いている。しかし、2か月半しか付き合っていないと考えるとやはり短すぎる。

長所を言うことはできるが、短所を的確に説明することは難しい。根っこから知っているかと聞かれたら胸を張れない。
それが不安だった。彼の実家は、比較的田舎で結納など形式的なものはすべて執り行った。私の不安は、口には出せなかった。

彼は、いつも優しい。子供を産んでほしいとも結婚しようとプロポーズもきちんと言ってくれた。
彼と彼の親は、何の落ち度もなく結婚という当たり前の場所へスイスイと泳いでいるようであった。

自分だけの身体ではないつわりでクラッカーしか食べられない毎日は、不安を忘れなさいと言っていた。
そんな小さな不安なんてなんでもないわ、と。

結婚式を二日後に控え、婚姻届にサインする日がきた。
証人の二人には事前に書いてもらっているので、はんこを押せば役所に出すだけだった。

名前を書いても妻になる実感、そう、母親になる実感も湧かなかった。
突然、印鑑を持つ手が震えた。そして、押した瞬間、あの不安がみるみるうちにしぼんでいき、小さくなった
。 そして、自分でも今の笑っている顔が輝いているのがわかった。幸せだった。

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